レミ街 - THE DANCE WE DO


2016年4月3日 『THE DANCE WE DO』 愛知県名古屋市 中村区文化小劇場


音の粒子が一つ一つ確実に打ち込まれ、また拡散していく。名古屋のバンド、レミ街の音楽性をどう例えたらいいか。シティーポップ、チェンバーポップ、フォーク、アイリッシュ、エレクトロ・ミュージック、様々な要素が溶け合い、相互に高めあっていく。

2016年4月3日名古屋市中村区文化小劇場で開催されたコンサートを観た。通常編成に加えてチェロ高橋淳子、フルート、サックス佐藤祐紀、フィドルの悠情、中村高校吹奏楽部の10人とのステージ。

まるでミュージカルのように楽しめる構成。キツネのお面を随所で飾りに用い、レミ街のメンバーは着物、ヴォーカル深谷彩を除いたレミ街メンバーは顔に白線、何かの儀式のようで、実際に「祭り」がコンセプトだったという。

まず5月25日にリリースされる同編成でのミニアルバム『GIANT』から「the Giant ‐Opening‐」、「ル曲」、「fogged me not more mountain」が続けて披露された。フィドル、チェロの優しい音色に、ドラムス、パーカッションが重なり、木琴が色を添え、吹奏楽部の演奏が音の幅を広げていく。

4曲目からは3rd『フ ェ ネ ス テ ィ カ』の曲が続く。「Safety touch」ではリーダー、コンポーザーである荒木正比呂がキーボードから立ち上がり鍵盤ハーモニカを吹き、シェイカーの響きが重なる。「インタールード」後半のドラム、パーカッションのインプロバイゼーションから、ひそやかに演奏される「イノセント」へつながり、3rdリード曲の「アイニー」では前奏のフルート・ソロを高校生が見事に務めあげ、荒木が立ち上がり歓声を上げた。この曲が持っていたポテンシャルが十二分に開花する瞬間。吹奏楽部の演奏が加わって曲はより外向きに開かれたようだ。

「THE DANCE WE DOにようこそ。感謝の言葉しかない」と荒木が語る。ヴォーカル深谷彩とベース角谷翔平が「一度きりのコンサートのために半年練習してきた」と説明する。「(高校生は)半年で全曲覚えてくれた。本当に凄い」と荒木が付け加える。

続く2ndアルバムからの「アゲハ」では高校生がドラムを担当。「女性のリズムがほしかった」と荒木。1stアルバム冒頭に収録されていた「Our Loves」は、楽器を置いた高校生達の合唱から始まり、サックス・ソロ、フィドル・ソロが合間に差し込まれるアレンジで華やかに生まれ変わっていた。

10曲目に3rdの最後を飾る「よろこびのうた」、2nd収録の「Magic & Lip」としっとりした曲が続いたと思えば一転、険しい冬山のような映像が映し出され、轟音が響く中、新作ミニアルバムから白眉の曲「たべるうた」が始まる。

勇壮なホーン・セクションから、深谷雄一の機械のように正確なドラム・ループへ。 続くは管庸至のギター、Happy今枝のパーカッション主体の人力ループミュージック、3rdからの「CATCH」。この2曲の流れは全体のハイライトの一つだった。

いよいよ本編ラスト14曲目でヴォーカル深谷が締めのMC。

「1度きりのコンサートと言いましたが、本来どのコンサートも、その瞬間、瞬間、一度しかないものです。音楽は生き物だと思います。(吹奏楽部の)生徒たちに自分だけの『THE DANCE WE DO』を感じてほしいと伝えてきましたが、来てくれた皆さんも何か特別なものを持ち帰ってほしいです」

と語り、彼女自身大好きで大事に歌ってきたという曲。セカンドからの「Whisper’s fellow」が始まる。

アンコールではLLamaのギター/ヴォーカル吉岡哲志が加わりLLama街としての曲「クロニックモノクローム」。客席から手拍子が巻き起こり、ヴォーカル深谷の合図でステージに顧問の先生が現れ叩いた銅鑼が会場全体に響き渡る。お祭りは最高潮。

レミ街の3人は客席を練り歩き、各地で拍手喝さい。LLama街でもう1曲、しめやかな「ひより坂」をへてアンコール・ラスト、悠情のフィドルが華麗なソロを聴かせる「Country Calling」では最後のサプライズ。彼の仲間、悠情楽団ベレー帽’sが加わり、フィドルとフラメンコでお祭りはフィナーレ。

悠情のキャッチフレーズ、「バイオリンは歌う、(北欧楽器としての)フィドルは踊る」の通り、総立ちの観客で巨大ダンスホールとなった中村文化小劇場は、その日何度目かの沸点を迎えていた。